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不妊治療用語集

さ行

子宮は左右のミュラー管が胎生8~15週くらいの間に癒着することで完成します。子宮中隔とは、通常は逆三角形の子宮がハート型にくびれて内腔が2つに別れてしまっている状態です。

同じ子宮奇形の「双角子宮」との区別が大切で、子宮中隔の場合は流産や不妊の頻度が高いとされています。子宮奇形にはこのほかにも、弓状子宮、単角子宮などがありますが、子宮奇形が必ずしも不妊原因には結びつきません。

しかし妊娠が成立した後に流早産の確率が高まることから、それらを繰り返し経験したときには腹腔鏡や開腹の手術を行なうことがあります。


早発卵巣不全とは、正常の月経周期だった人が、40歳以前に閉経(通常は50歳くらい)してしまうことをいいます。早発卵巣不全では卵巣の中に卵胞(卵)の発育がなくなり、血液中のNH、FSHが高くなるのが特徴です。

早発卵巣不全は卵巣機能低下症とも呼ばれ、症状は無月経、稀発月経(月経周期が長いこと)があげられます。早発卵巣不全の原因は不明ですが、卵胞ホルモン(エストロゲン)などの女性ホルモンの分泌低下が1つの理由です。


続発性不妊症とは、過去に妊娠した事はありますが、その後に妊娠を望み2年以上妊娠しない場合を指します。1度も妊娠した事のない人が同じように妊娠を望み、2年以上妊娠しないことを原発性不妊症といいます。

続発性不妊症とは過去に妊娠を経験している不妊症のことです。すでに子どもを授かっている人はもちろん、流産や人工中絶などの妊娠経験も含まれます。あまりこの続発性不妊症という言葉は使われていません。


双角子宮とは、子宮(子宮腔)がウサギの耳のように2つに分かれているものです。子宮奇形の1種で子宮腔が2つ存在している状態になります。

双角子宮そのものが、着床障害などの不妊の原因となることは少ないのですが、その子宮腔の形から流産を引き起こしやすいことが知られています。また出産の際に胎児がうまく回旋することが難しく帝王切開になることもあります。

子宮奇形にはこのほかにも、中隔子宮、弓状子宮、単角子宮などがありますが、子宮奇形が必ずしも不妊原因には結びつきません。しかし妊娠が成立した後に流早産の確率が高まることから、それらを繰り返し経験したときには腹腔鏡や開腹の手術を行なうことがあります。
双角子宮の手術では、軽度の場合では「シュトラスマン(Strassmann)手術」、高度な場合には「Jones&Jones手術」という方法で、2つに分かれている子宮腔を1つにする治療が行なわれます。


セロフェンとは、排卵誘発剤クロミフェンの商品名。経口製の排卵誘発剤の総合的な名前をクロミフェン製剤といい、セロフェンの他にもクロミッド、オリフェン、フェミロンなどの名前の薬があります。これらはどれも同様の効果を持ち、商品名によって薬の効き目に違いがあるわけではありません。

セロフェン錠の効果は、視床下部の脳下垂体に働きかけ卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)の分泌を促します。排卵誘発剤という名前ではありますが、直接的には排卵させる効果よりも卵を成熟させるための薬と考えておけばいいでしょう。

セロフェン錠の副作用として、顔面紅潮感が5.4%、卵巣腫大が2.9%、下腹痛が2.2%、吐き気、嘔吐が2.0%、頻尿、尿量増加が1.5%、その他の頭痛、蕁麻疹、視覚障害、疲労感、神経興奮などが1%未満との報告があります。

腹水などでおなかが腫れてしまう「OHSS(卵巣過剰刺激症候群)」の発症率は0.4~5%程度ですが、そのほとんどは軽症で、重症に陥るということは稀です。また双子などの多胎妊娠の確率は2~5%程度となっています。

またセロフェンを数周期以上に渡り連用すると、頸管粘液の減少、子宮内膜が薄くなるといった「抗エストロゲン作用」の副作用が起きやすくなります。これらの副作用は妊娠する確率を下げてしまいますので、慎重に服用中の経過を見ていく必要があります。

セロフェン錠を服用することによって排卵日が安定します。排卵例の約80%は投与開始後から、「12~14日ごろ」排卵します。卵が十分に成長しているのに自然排卵が難しいときには、hCGという注射で排卵の手助けをすることになります。

セロフェン錠の用量につきましては1錠(50mg)から開始するのが一般的で、月経周期の5日目、あるいは3、4日目から5日間、連続で内服します。卵胞発育が見られない症例では次回から、2錠、あるいは3錠と増量していくことになります。


セキソビットとは、排卵誘発剤の商品名を指し、一般名はシクロフェニル製剤といいます。 セキソビット錠を服用することで脳下垂体に働きかけ、FSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体形成ホルモン)の分泌とを促すことで、排卵を起こさせる効果があります。

同じく経口の排卵誘発剤にはクロミフェン(クロミッド)がありますが、セキソビットはこれよりマイルドな排卵誘発剤です。セキソビットの排卵率は50%程度といわれ、クロミフェンよりも少ない数字(クロミッドは70%程度)となりますが、その代わりにOHSS(卵巣過剰刺激症候群)などの副作用がまず起こりません。

セキソビット錠の服用につきましては、月経周期の5日目から1日4~5錠を、5~10日間続けて飲むことが一般的です。クロミフェン療法で、頸管粘液の減少、子宮内膜が薄くなるといった副作用が出た場合に、シクロフェニル療法に変わることがあります。


GnRHアンタゴニストとは、体外受精(IVF)周期で使われる薬で、脳下垂体から分泌される「ゴナドトロピン(LHとFSH)」を抑制するために使われます。GnRHアンタゴニストを使うことで、LHサージを抑えて気まぐれに排卵してしまうのを防ぎます。

体外受精では、卵の熟成から採卵まですべてコントロールして行なわれます。そのため気まぐれにLHサージが起こったり排卵してしまっては困るのです。

GnRHアンタゴニスト(セトロタイド)は2006年の秋に発売されたばかりの、まだ新しい薬です。それまでは「GnRHアゴニスト」という、スプレータイプの点鼻薬(スプレキュア、ナサニールなど)が使われていました。

「GnRHアンタゴニスト」と「GnRHアゴニスト」の大きな違いは、その効果の持続時間にあります。GnRHアンタゴニストは皮下注射薬で痛みを伴いますが、効能の持続時間が約30時間あります。

それに比べてGnRHアゴニストでは、スプレータイプではありますが、効能が8時間程度しかありません。そのため「1日3回使用」というわずらわしさがあるのです。

そしてGnRHアンタゴニストは、その効果がすぐに現れるために、GnRHアゴニストのように長い期間投与する必要がありません。GnRHアンタゴニストは、「下垂体の回復が早い」「HMGの投与量が少なくOHSSの発症が少ない」「卵巣刺激にかかる総費用が安い」などのメリットがあります。

GnRHアンタゴニストは発育卵胞数を調節できる可能性もあり、今後の体外受精で使われる薬の主流となると考える専門家が多いようです。


GnRHアゴニストとは、体外受精(IVF)の際に卵の成長をコントロールするための点鼻薬です。商品名はスプレキュア、ナサニール。GnRHアゴニストは視床下部に働きかけることで、GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)の分泌を抑えて、卵子の気まぐれな成長や排卵を抑える効果があります。

一般的な体外受精にはロング法とショート法がありますが、両者の違いはGnRHアゴニストの使用期間になります。ロング法では前周期の黄体期半ばから、ショート法では月経が開始されてからGnRHアゴニストを使用します。

またGnRHアゴニストには短期で使うことで、排卵を促す効果があります。これはGnRHアゴニストの「フレアーアップ」というLHとFSHの急激な上昇を利用したもので、HCG注射の代用として体外受精以外の周期でも使用されることがあります。


精巣上体とは、精巣の横にあり精巣で作られた精子を熟成させる場所(副睾丸)のことです。精細管上皮で成熟した精子が精巣上体に集められます。

精巣上体管が何らかの原因で閉塞すると無精子症(精液に精子が含まれない)となります。精子の形成は精巣生検により診断しますが、精巣容量が10ml以上の無精子症では精巣上体閉塞の無精子症が疑われます。


精巣とは、精子が作られる場所です。陰嚢とよばれる袋に中にあり、男性ホルモン(テストステロン)を分泌する重要な臓器です。精子は精巣上体に集められて、射精の直前に精管前立腺部に移送されます。

男性ホルモンは、視床下部→下垂体→精巣という順序で分泌されていきます。下垂体からGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)が分泌され下垂体に働きかけます。そして今度は下垂体から分泌されるLHとFSH(ゴナドトロピン)が精巣に働きかけるのです。

精巣の主な働きは、テストステロンの産出と精子の形成になります。テストステロン以外の男性生殖機能に関連するホルモンは、プロラクチン、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)などがあります。


精子膨化試験とは、男性の精子を調べるための方法で、一般精液検査で問題があるときなどに行なわれる特殊な検査(精子機能検査)の1つです。精子に低浸透圧負荷をかけることで、精子の尻尾の部分に見られる膨化の程度を観察する方法です。

精子膨化試験後に、精子尾部全体が大きく膨化しているものほど細胞膜が無傷で精子機能が良好だと考えられています。精子膨化試験の測定方法や判断基準には施設によって違いがありますが、簡単かつ短時間で結果が測定できるという利点があります。


精子生存試験とは、男性の精子の状態を調べるための方法で、培養液中の精子が「どれだけ長い時間元気でいられるか?」を調べる検査です。一般精液検査で問題があるときなどに行なわれる特殊な検査(精子機能検査)の1つです。
精子生存試験では「スイムアップ(swim-up)」させた精子を、24時間以上培養していきます。36時間以上「運動能力」に低下が見られなければ(陽性)、自然妊娠が十分に可能だと考えられています。
36時間で精子の運動能力が落ちた(陰性)場合は、受精能獲得や先体反応が起こらない可能性があり、人工授精や体外受精が適応になります。


生検とは、針などで組織の1部を採取して顕微鏡で検査する方法です。超音波画像と違い、直接観察できるので確実な検査法とされています。

精巣生検とは、無精子症が疑われるときに精巣内で精子が作られているか、精子が存在しているかを調べる生検です。精巣内の組織を採取して、精子、または後期精子細胞が存在するば凍結保存により、顕微授精(ICSI)が可能となります。


性交障害とは、仕事の忙しさやタイミングのズレ、あるいはセックス自体に興味がなくなり、結局はセックス出来ないことを言います。加齢や「上の子供が出来た」などをきっかけに、セックスレスになったり、ストレスや精神的なことからもお互いの身体に「触りたくない」なんてこともあります。
ED(勃起不全)、性交障害、射精障害などセックスがうまくできないことを性機能障害と言います。


性感染症(STD)とは、梅毒、淋病、クラミジア、トリコモナス、性器ヘルペス、エイズなどの、いわゆる性病です。感染したらパートナーも一緒に治療することが必要になります。近年では、骨盤内炎症性疾患(PID)がここ数十年の間に急激な増加傾向にあることが知られています。
STDの中でも最もポピュラーなのはクラミジア感染です。クラミジア感染を放置しておくと卵管性不妊症に発展することがあり、卵管内に炎症と癒着が起きることがあります。


スプレキュアとは、視床下部に働きかけることで脳下垂体ホルモンの分泌を抑制する点鼻薬です。似た薬にナサニールがあります。ナサニール、スプレキュアとは商品名を指し、これらの薬をまとめて「GnRHアゴニスト」と呼んでいます。

GnRHとは「ゴナドトロピン放出ホルモン」のことで、このホルモンが分泌されると、脳下垂体ホルモンのFSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体化ホルモン)が作用して、卵巣内の「卵」が成長して排卵します。

体外受精では全ての卵の成長をコントロールしたいので、卵が気まぐれに大きくなったり排卵したりしては困るのです。そこでスプレキュアを使うことで、下垂体ホルモンの分泌を抑制して人為的に卵を熟成させていくのです。

一般的な体外受精にはロング法とショート法がありますが、両者の違いはGnRHアゴニストの使用期間になります。ロング法では前周期の黄体期半ばから、ショート法では月経が開始されてからGnRHアゴニストを連続で使用します。

またスプレキュアには短期で使うことで、排卵を促す効果があります。これはスプレキュアの「フレアーアップ」というLHとFSHの急激な上昇を利用したもので、HCG注射の代用として体外受精以外の周期でも使用されることがあります。

スプレキュアの副作用は、頭痛や下腹部痛、不正出血などがあげられます。しかし副作用は一時的なことが多く、比較的使いやすい薬とされています。またスプレキュアを上手に点鼻できないこともありますがこれも「慣れ」が関係するようです。

スプレキュアは子宮内膜症や子宮筋腫の治療にも使われます。下垂体ホルモン、卵巣ホルモンの分泌を抑制することで、あたかも閉経したような状態を作るのです。(偽閉経療法)


スパクロミンとは、排卵誘発剤クロミフェンの商品名。視床下部の脳下垂体に働きかけ卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)の分泌を促します。

スパクロミンと同様な排卵誘発剤には、クロミッド、セロフェン、オリフェン、フェミロンなどがあります。


スイムアップ法とは、人工授精において採取した精子の中から、質の高いものだけを集める方法です。「遠心分離法」で選ばれた精子に培養液を加えて、上澄みに浮遊した良好な精子を採取する方法です。スイムアップ法は精子の運動率を高める効果がありますが、精子の総数を減らしてしまうという欠点もあります。

人工授精にはスイムアップ法の他にも、遠心分離法、精液静置法やパーコール法、精子洗浄濃縮法などがありますが、スイムアップ法がもっとも多くの病院で使われているようです。(上記の言葉をスイムアップ法と同じ意味で使われることもある)

なお人工授精(AIH)とは、排卵日に合わせて夫の精子を注入器で子宮の奥に送り込ませる方法です。人工授精は一般的にはタイミング療法で妊娠しなかったときに、次のステップとして考えられています。


女性ホルモンとは、女性の体をコントロールする化学物質で、月経、妊娠、出産、授乳などはすべて女性ホルモンと深い関わりがあります。女性ホルモンは、脳の視床下部や下垂体、甲状腺、卵巣から分泌されます。

妊娠と関わりがある女性ホルモンには、下垂体から分泌される「黄体形成ホルモン(LH)」と「卵巣刺激ホルモン(FSH)」、そして卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン)があります。

視床下部~下垂体~卵巣という女性ホルモンの分泌過程で不調和が起こると、不妊原因となることがあります。無理なダイエット、強いストレス、不規則な生活などは女性ホルモンのバランスを崩す原因となります。

不妊で悩む人たちの間では、女性ホルモン(エストロゲン)を増やす食べ物として、グレープフルーツやざくろなどが人気があります。サプリメントではマカや葉酸が女性ホルモンと深い関わりがあるようです。


受精卵とは、精子と卵子が受精して1つになったものです。月経周期に1度、女性の卵巣から卵子が排卵されます(排卵日)。この卵子が精子と1つになることが受精です。そして卵管膨大部で受精した受精卵は細胞分裂を繰り返しながら子宮内膜に着床するのです(妊娠したと定義される)。


受精とは、卵巣から排卵された卵子と、射精された精子が結びつく事です。受精した卵子を受精卵と言い、受精卵が子宮内膜に根を生やすことを着床といいます。

受精から着床までの期間は1週間程度で、この期間に妊娠の症状が出ることはありません。着床が成立すると体内からHCGというホルモンが分泌され始めますが、このHCGこそ妊娠検査薬で陽性になる成分なのです。

「じゅせい」という言葉には、「受精」と「授精」という2つの意味があります。「受精」は卵子と精子が融合して1つの細胞になることをいい、一般的にはこの言葉を使います。(fertilization)

不妊治療ではもう一方の「授精」を使うことがあります。これは、精子を子宮を注入したり、あるいは卵の側に精子を置くことによって受精を促すことを指します。(insemination)
なお体外受精では、小さな容器内の中で卵と精子の受精を促すことを「媒精」といいます。


射精不全とは、男性が女性の膣内に射精できない状態を言います。挿入は出来ても途中で柔らかくなってしまうなど膣内に射精できないこと。

射精不全は精神的な影響が大きいと考えられていて、排卵日付近の体調やムードを無視した義務的なセックス、精神的なマンネリ間や過去のセックスの失敗などが原因とされています。また加齢による性欲の減少も大きく影響しています。

ED(勃起不全)、性交障害、射精障害などセックスがうまくできないことを性機能障害と言います。


視床下部とは、脳の中央に位置して人間のあらゆる器官の働きや、ホルモンバランスを調節するところです。排卵は視床下部や下垂体から分泌されるホルモンが関わっています。

排卵までのホルモン分泌の順序は、まず視床下部から下垂体に性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が分泌されます。次にGnRHの刺激を受けた下垂体がFSHとLHの分泌を始めるのです。

そしてFSHとLHの刺激を受けて卵巣内の卵胞が発育、排卵、黄体形成、それに伴うエストロゲンやプロゲステロンの分泌が始まるのです。


主席卵胞とは、月経開始時に存在している卵巣内の「数個の卵胞」のうち、実際に排卵に向けて大きく成熟していく卵胞のことを言います。

月経が開始されると、卵胞の成長を助けるために脳からFSH(卵胞刺激ホルモン)というホルモンが分泌されます。卵巣内には数個の卵胞が存在していますが、このFSHに1番早く反応した卵胞が成長を始めます。

これこそが主席卵胞で、成長を始めた主席卵胞はエストロゲン(卵胞ホルモン)というホルモンを自ら分泌するようになります。このエストロゲンにはFSHを抑制する働きがあり、他の卵胞の発育を抑えて変性させてしまうのです。

そうすることによって主席卵胞は「視床下部-下垂体-卵巣」というホルモン分泌の関係を上手に保つようになります。そして自らは排卵に向けて、元気よく成長していくのです。


シクロフェニルとは、排卵誘発剤のセキソビットの一般名を指します。 脳下垂体に働きかけ、FSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体形成ホルモン)の分泌とを促します。クロミフェンより服作用は起こりにくいですが、排卵誘発作用が少ないのが特徴です。

シクロフェニル(セキソビット)」の排卵誘発率はクロミッドよりも悪く50%程度ですが、よりマイルドな薬で、副作用の心配がほとんどありません。排卵誘発剤とは、卵巣を刺激して排卵を起こさせる薬です。経口薬(飲み薬)と注射薬の2種類があり、経口の薬でも効果が見られないときに、より強力な注射薬に移行するのが一般的な流れです。


子宮内膜増殖症とは、赤ちゃんのためのベッドと呼ばれる子宮内膜が必要以上に増殖してしまう病気です。
通常の女性は月経周期に1回、子宮内膜がきれいに剥がれ落ちます。これが生理で子宮内のいらなくなった老廃物をきれいに掃除してくれます。

しかし生理になっても、ホルモンの影響で子宮内膜がすべて剥がれ落ちずに増殖してしまうことがあり、これを子宮内膜増殖症と呼びます。


子宮内膜癒着とは、赤ちゃんが育つスペースの子宮内膜に癒着が起こってしまうことです。流産や人工中絶、炎症が原因で子宮内膜に傷を受けると子宮内膜癒着がおきることがあります。

癒着とは、組織同士がくっついてしまうことです。癒着は卵管や卵巣、子宮やその周辺のいたる場所に起きますが、子宮内膜に癒着ができると受精卵が着床しにくくなったり流産を引き起こす原因となります。


子宮内膜日付診とは、黄体ホルモン(プロゲステロン)を調べる検査として高温期の中間(7日目)辺りに、子宮内膜の1部を採って、細胞の育ち具合を顕微鏡で見る検査です。細い耳かきのような器具を直接子宮に挿入して、内膜の組織を採取したあとに顕微鏡で調べます。

子宮内膜日付診は古くから行なわれている検査ですが、その正確性が低いことが欠点となっています。近年では同様に黄体期に行なう、「ホルモン検査(血液検査)」を行うことが多いようです。


子宮内膜癌とは、赤ちゃんが発育する子宮内膜に悪性のがん細胞が出来てしまう病気です。エストロゲンの大量分泌が原因するとも考えられ、子宮内膜増殖症や不正出血が子宮内膜癌の兆候として上げられます。

子宮内膜癌(子宮体ガン)にかかりやすいとされる人は、妊娠や出産経験が少ない人、肥満や高血圧を伴う人、糖尿病、PCO(多嚢胞性卵巣)の人などがあげられます。

子宮内膜癌の症状は無症状のことが多いですが、進行していくと不正出血や悪臭、下腹部痛を伴うことがあります。子宮内膜癌は閉経に差しかかる40後半~50代に多く見られますが、40歳未満の若年性の子宮体癌も5~6%に見られるという報告があります。


子宮内膜とは、子宮を覆う粘膜組織のことです。子宮は骨盤の中央辺りに位置していて、逆三角形の形をした袋状の臓器です。子宮はに、膣につながっている子宮頸部(下につながる細い部分)と、逆三角形に膨らんでいる子宮体部とがあり、そして両手を広げたような卵管部分へとがつながっています。

子宮内膜とは子宮体部の内側を覆う粘膜のことで、この場所に受精卵が着床すると妊娠の成立となります。子宮内膜は女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)と親密な関係があり、これらのホルモンによって子宮内膜が厚くなると受精卵が着床しやすくなる仕組みです。

子宮内膜は排卵に合わせて1mmから1cm程度に変化します。そして排卵後に受精卵が着床しなければ、厚くなった子宮内膜が剥がれて生理となるのです。不妊原因の1つ「子宮内膜症」とは、本来ならこの子宮の内側をおおっている組織が、子宮の外側に増殖してしまう病気です。


子宮外妊娠とは、受精卵が子宮内膜以外に根をはってしまうことです。当然赤ちゃんが育つスペースはなく、流産したり卵管が破裂したりして母体も危険な状態になることがあります。子宮外妊娠の確率は全妊娠の2%ほど。


子宮腔とは、妊娠に最も大切な子宮体部内のスペースのことです。文字通り赤ちゃんが育つスペースを言います。子宮腔にある子宮内膜が厚くなることによって、受精卵が着床することが可能になります。

子宮にはこの子宮腔のある「子宮体部」と、膣と子宮体部を結ぶ「子宮頸部」によって構造されています。イラスト赤い部分の逆三角形の部分が子宮腔にあたります。


子宮鏡検査とは外径が約3ミリ程度の内視鏡(細い管の先にカメラがついたもの)を、直接子宮腔に挿入して子宮を直視下に検査をする方法です。子宮鏡検査は外来でも容易に実施することができ、今後は不妊外来での必須の項目と考えられています。

子宮鏡検査で分かることは、子宮内膜ポリープ、子宮腔の癒着、粘膜化筋腫などです。そして子宮鏡検査の際に軽度な病変であれば、切除や癒着剥離などの治療も出来ます。子宮鏡には、ヒステロファイバースコープ、ビデオヒステロファイバースコープ、硬性子宮鏡があります。


子宮とは、女性の生殖器官で赤ちゃんが育つ場所のことです。右のイラストの赤い逆三角形の部分が子宮を指し、最初は鶏の卵ほどの大きさだった子宮が妊娠すると40センチ近くにもなります。(子宮底長)

子宮の内膜を覆っているものを「子宮内膜」といい、赤ちゃんのための「フカフカのベッド」と言われています。この子宮内膜は月経開始から排卵後まで、順調に厚くなっていきます。そして妊娠が成立しないと周期には、子宮内膜が生理としてきれいに剥がれ落ちるのです。

子宮には婦人科系のトラブルが起こりやすく、代表的なものには「子宮筋腫」「子宮内膜症」「子宮内膜ポリープ」「子宮内膜ガン」などがあります。


採卵とは、体外受精(IVF)を行なう際に、卵巣内から卵子を取り出すことです。超音波でモニターしながら膣壁から卵巣に針を刺して、卵胞液ごと卵を吸引します。

採卵にあたって前日に採血をすることがあります。これは培養液に血液中のアルブミンを加えると、受精や胚の発育がよくなると言われているからです。採卵時の麻酔は、局部麻酔のこともありますが、「痛み」が怖い人は静脈麻酔のリクエストも可能です。

採卵は、「採卵室」の内診台で行ないます。外陰部と膣内を清浄したあとで、経膣超音波でモニターを確認しながら左右の卵巣から採卵します。時間的にはおおよそ10分程度となります。
採卵できる卵の数は卵巣刺激の方法にも影響しますが、数個~10個程度のことが多いようです。通常採取した卵の全てに媒精(精子と卵子の受精を促すこと)を試みます。


配偶子卵管内移植(GIFT)とは、体外で精子と卵子を混ぜ合わせ、受精する前の状態で卵管の先に戻す方法をいいます。卵子と精子が自然な環境に近い卵管内で受精し、発育胚となるため、高い成功率が報告されています。

配偶子卵管内移植(GIFT)は腹腔鏡下で行なわれることが多いですが、ミニラパラトミーという小開腹法でも可能な施設もあります。受精は体内で行われるGIFTに対して、1日培養して受精後に卵管に戻す方法を胚卵管内移植(ZIFT)といいます。


セカンドオピニオンとは、主治医の治療法や方針に対して、他の医師の意見を求めることです。医師によってさまざまな考えを持っているのが現状で、セカンドオピニオンを求めることによって治療をしていく上での選択の幅が広がります。


ARTとは、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)のように卵子と精子を体外で受精させる医療技術のことです。生殖医療技術、高度生殖医療、生殖補助医療などと呼ばれることもあります。
ARTの種類には、体外受精-胚移植(IVF-ET)、顕微授精(ICSI)の他に、接合子卵管内移植(ZIFT)および卵管内配偶子移植(GIFT)の4つがあります。それに加えて医療技術として「胚の凍結」、「アシステッドハッチング」、「着床前診断」などが含まれます。


子宮頚管とは、子宮腔と膣を結ぶの子宮頸部のことです。排卵期になると子宮頚管からアルカリ性の粘液を分泌されるようになり、酸性が苦手な精子の運動量をよくすることができます。
子宮は上部の3分の2が子宮体部に占められ、残りの3分の1が「子宮頚管」がある子宮頸部になります。(正確には子宮頸管と書きます)

子宮頚管から分泌される粘液を子宮頚管粘液といい、精子が子宮に進入するときにその動きを活発にしてくれる働きをします。


人工授精(じんこうじゅせい)とは、生殖医療技術の一つで、人為的に精液を生殖器に注入することによって妊娠を実現することを目的とした技術のことである。
精子の運動性や数に問題があり妊娠に困難がある場合、性交障害(インポテンツ)がある場合、女性生殖器の狭窄などによって精子の通過性に問題がある場合などに行われる。 手法として、精子を注射器のような器具を用いて子宮内に注入することによって行われる。かつては採取した精液をそのまま注入していたが、現在では精液を遠心分離などによって精製し、活性の高い精子を選別するなどして効率向上と副作用(精液中に存在するプロスタグランジンの影響などによる発熱等)の低減を図っている。このとき、卵細胞の活性化や(子宮内膜の状態を調整するため)黄体ホルモンの投与などが行われる。排卵誘発剤の投与も検討されるが、これは後に述べる多胎のリスクを増加させる問題もある。
精子の提供者について配偶者間人工授精(AIH:Artificial Insemination of Husband)・非配偶者間人工授精(AID:Artificial Insemination of Donor)に区別される。
日本では非配偶者間人工授精は、倫理的な問題や社会的認知の浅さがあり、公には殆ど行われていない。


女性化乳房(じょせいかにゅうぼう)とは、男性の胸部が、女性のそれのように隆起してあたかも乳房が女性のような膨らみを有する症状。真性と偽性(単に肥満)がある。

真性の女性化乳房は女性と同じように乳腺の発達で起こる。乳首の中にしこりができたようになり痛みもあるため乳癌と間違うこともある。男性にも乳癌があるので自己判断は危険だが、男性が「乳首の中にしこりができた」と病院で診察を受けると多くは女性化乳房症であることが多い。中にはメンズブラが必要なほど大きくなることもある。
真性の場合、
肝機能の低下
人は誰でも男性ホルモンと女性ホルモンの両方を持っている。しかし、男性にとって女性ホルモンは異物であり、肝臓がそれを分解する役割を負っているのだが、肝機能が低下すると、女性ホルモンが増え、乳房が発達する。例えば肝炎などが高ずるとなったりする。
女性ホルモンに似た働きをする薬物を摂取していること
ある種の薬の副作用として、その薬が女性ホルモンに似た作用を起こして乳房が発達する。主なものに前立腺疾患治療薬、男性型禿髪症治療薬などがある。
思春期や更年期のホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスが崩れがちな思春期の男子でよく起きる。更年期においてもホルモンバランスが乱れる事で乳房が膨らむ場合がある。
遺伝的要因
たとえばクラインフェルター症候群であれば、表現型は男性であるが乳房が膨らむ。
精巣腫瘍
精巣腫瘍は無痛性で炎症症状の乏しい陰嚢内腫瘤として発見されることが多い。
好発年齢は0歳から10歳、20歳から40歳の二峰性であり、特に20歳から40歳の男性が罹患する固形腫瘍の中でで最も多い原因であるため、社会的には極めて重要な疾患の一つであるとされる。危険因子としては、停留精巣などがある。
精巣腫瘍の中には血中hCGが異常高値をきたすもの(絨毛癌。稀にセミノーマ)があり、hCGの上昇に伴い女性化乳房を来すことがある。このとき、陰嚢の腫瘤・違和感と両側乳首の痛み・乳房の張りを自覚症状として病院に訪れる。この場合、痛みは乳房にあるが原因は陰嚢内であるため、陰嚢の自覚症状を伝えなければ乳房の生検をしても原因ははっきりせず、精巣腫瘍が見逃されることがある。
治療はシスプラチンをベースとした化学療法が第一選択で、レジメンとしてはBEP療法(ブレオマイシン・エトポシド・シスプラチン)、または EP療法(エトポシド・シスプラチン)がある。
原因不明
成人男性の乳房が特に理由もなく肥大することがある。この場合特に治療は必要とされないが、女性化乳房が顕著になった場合は外科手術をすることもある。
男性の胸が女性化すること自体は生命維持に関わるような状態ではないが、男性乳癌になる可能性もあること、精巣腫瘍、また前述の如く肝機能が低下した結果としての症状である可能性もある。


潜在性高プロラクチン血症とは、昼間のうちにはプロラクチンの数値が正常なのに、緊張状態や夜になるとプロラクチン値が高くなってしまうことです。TRHテストという方法で潜在性高プロラクチン血症を診断していきます。

高プロラクチン血症とは、おっぱいを出すホルモン「プロラクチン」の数値が慢性的に高くなる疾患です。プロラクチンとは脳下垂体から分泌される「乳腺刺激ホルモン」のことで、プロラクチンが多量に分泌されると、月経不順や排卵障害を引き起こす原因となります。

出産後の授乳中に生理が止まるのは、プロラクチンが豊富に分泌されていることが原因の1つです。


運動している精子が確認できない精液

運動精子が全くみられない精子死滅症の診断でも、中には、死滅した不動精子だけではなくて、生存している不動精子が混在している精子不動症の場合には、精子を見分けることにより妊娠が可能となります。方法は、精子を低浸透圧の液に浸して生存の有無を確認します。
これにより生存精子と判定された精子を使って、顕微授精が施行できます。


子宮卵管造影法とは、造影剤を子宮腔内に注入し、X線で撮影する検査です。子宮内部や卵管に異常がないかが分かります。
子宮卵管造影検査は子宮内膜が肥厚が少ない月経直後が適していて、多くの場合は生理が終わった頃に実施されます。造影剤には油性と水溶性があり、油性の場合は次の日に造影剤拡散(腹腔内)の検査のためもう1枚X線を撮影することが多いようです。
子宮卵管造影検査後の半年間(特に検査後3ヶ月)は、妊孕性があがることが確認されています。(ゴールデン期間)


精液検査とは、男性の精子の状態を調べる検査です。精子の運動量、奇形率、精子の数、精液の量に異常がないか調べます。体調や精神状態で左右することも多く、何回かにわけて検査をします。


先体反応(英:acrosome reaction)とは精子の先体が透明帯に接近した時に起こる反応。卵に精子が接近した時、先体を包む膜は精子の原形質膜(plasma membrane)と融合し、卵と融合できる状態となる。


子宮頸管粘膜の増殖性病変で、茎(くき)をもつような形で発育して外子宮口から露出していきます。深紅色のポリープ(キノコ状の小さな腫瘍)で、多くは単発で発生し、数mm~数cmの大きさです。30~40代の多産婦に多くみられます。がんなど悪性のものに変化することは、ほとんどありません。


精巣炎は多くの細菌やウイルスにより起こる病気ですが、そのなかでもおたふく風邪
のウィルスが精巣炎の原因となる最も一般的なウイルスです。成人になってからおた
ふく風邪に感染すると精巣炎になることがあります。


性機能障害とは、ED(勃起不全)、性交障害、射精障害などセックスがうまくできないことを指します。性機能障害は近年増え続けている不妊原因です。

女性が不妊治療を始めることをきっかけに、男性が性機能障害になることがあります。排卵日を狙った義務的なセックスが精神的な余裕をなくして、結局はセックスできなかったり膣内に射精できなかったりします。

不妊の隠れた原因と言われる性機能障害は最近になって増え続け、特にEDは性機能障害の中でも70%を占めると言われています。


染色体異常とは、精子や卵子の染色体に異常を持ってしまうことです。初期流産の約半数以上の原因が染色体異常といわれ、未だ不明な点が多いとされています。染色体異常は親から引き継いだものは少なく、生殖細胞の発生か受精卵発生の過程で生じることが多いと考えられています。

習慣流産者(流産を3回以上繰り返すこと)では3~8%に染色体異常が認められるというデータがありますが、その診断は非常に難しく、また染色体異常を認められた場合でもその治療法はないとされています。


精巣生検では、顕微鏡により評価する検体のために精巣組織の小切片を摘出します。組織検査により、精細管と間質のライディヒ細胞(精子が形成される管周囲の組織内でテストステロンホルモンを産生する細胞)を評価できます。

生検結果が正常な場合は、精巣から前立腺までのどこかが閉塞あるいは欠如しているため、精液分析結果が乏精子症または無精子症になったことを示しています。生検で得られた組織の異常は、以下のものを示している可能性があります。
精子を成熟させるために必要な細胞の欠如
低精子形成症(異常に少ない数の精子の形成)
生殖細胞無形成症(精子を形成する生殖細胞の欠如)
以前の精巣における感染の痕跡
ライディヒ細胞の異常


性腺刺激ホルモンとは、卵巣や精巣に働きかける糖たんぱく質ホルモンです。卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の2種類があり、下垂体前葉から分泌されます。

女性が排卵するまでの順序は、視床下部(間脳)から下垂体に働きかけ、そして下垂体が性腺刺激ホルモンを分泌することで、今度は卵巣に働きかけます。そして刺激を受けた卵巣が、エストロゲンやプロゲステロンの分泌を始めるのです。

性腺刺激ホルモンの働きを調べる検査にLH-RH負荷試験というテストがあります。LH-RH(黄体化ホルモン放出ホルモン)というホルモンを注射して、15分後と30分後、あるいは30分と60分の間隔で採血してゴナドトロピンの反応値を調べます。


習慣流産とは、連続して流産を3回以上繰り返す事を言います。2回繰り返す事は反復流産といい、習慣流産とは区別されています。本来流産は染色体異常などが原因で、独立的な出来事として起こります。

実際に流産していない人と、1回経験した人が次の妊娠で流産する確率は15%程度で変わらりません。ところが2回経験した人が3回目に流産する確率は20~30%、3回以上経験した人が次に流産する確率は50%と、繰り返すたび確率は上がってしまうようです。

習慣流産者(流産を3回以上繰り返すこと)では3~8%に染色体異常が認められるというデータがありますが、その診断は非常に難しく、また染色体異常を認められた場合でもその治療法はないとされています。


子宮奇形とは、子宮の数々の奇形状態で必ずしも不妊の原因ではありません。重複子宮、双頚双角子宮、単頚双角子宮、単角子宮、双角子宮、中隔子宮、弓状子宮などがあります。
子宮は左右のミュラー管が胎生8~15週くらいの間に癒合することで完成します。しかしこの過程で何かの異常が起こると子宮奇形が発生することがあります。
子宮奇形が着床障害などの不妊原因となることもありますが、そのことに加えて流早産の可能性が高くなることが問題視されています。
子宮奇形の手術では、軽度の場合では「シュトラスマン(Strassmann)手術」、高度な場合には「Jones&Jones手術」、また中隔子宮では「Tompkins手術」という方法が用いられています。


子宮性不妊には子宮発育不良、子宮後屈、子宮内膜症、子宮筋腫などが含まれます。子宮性不妊の場合、いずれのタイプも軽度であれば周期療法の適応になります。
 子宮発育不良は幼児型子宮ともいわれ、先天性、遺伝性の要素が強いです。卵巣性不妊(排卵障害)を伴うこともあります。軽度であれば補腎養血を主とする周期療法を行うと、子宮の発育がよくなり子宮内膜も厚くなってきます。中度から重度になってくると、より強力に補腎する必要がありますがよい効果が得られないこともあります。子宮内膜症や子宮筋腫は子宮内膜の器質的な異常です。
 子宮内膜症は軽度であれば、補腎活血を主とする周期療法を行うと、子宮内膜の状態がよくなり生理痛も軽くなってきます。中度から重度になってくると、淤血が重くなっていると考えて、体質にもよりますがより強力に活血する必要があります。この場合子宮内膜症の改善を優先に考えます。子宮内膜症がある程度改善してから周期療法に移っていきます。
 子宮筋腫の場合は筋腫の大きさ、数、部位などによって治療が異なってきます。子宮筋腫があまり大きくなく、数が少なく、子宮の外側に向かっているものであれば、妊娠への影響は少なく補腎活血を主とする周期療法が効果的です。子宮筋腫があまり大きくなくても、子宮の内側に向かっていて過多月経や不正出血を伴えば、子宮筋腫の治療を優先します。子宮筋腫がある程度改善してから周期療法に移っていきます。子宮筋腫がかなり大きい場合は漢方薬が効きにくく、手術などの方法を考える必要もあります。


子宮内膜ポリープとは、子宮内膜にできる小さいコブ状なものです。子宮内膜ポリープの原因は、炎症や分娩、流産からできる場合もありますが、ホルモン(エストロゲン)の影響からできる場合がほとんどと言われています。子宮内膜ポリープがあると、受精卵の移動を阻害することから着床障害を起こす可能性が高くなります。


子宮腺筋症とは、子宮内膜症の1種で、子宮内膜組織が子宮筋層(筋肉)の中に入り込んでしまう病気です。内性子宮内膜症と呼ばれることもあります。

子宮腺筋症の症状は、ひどい生理痛、過多月経、貧血などがあげられ、子宮筋腫と合併して発症することもあります。ひとたび子宮腺筋症が発症してしまうと、不妊原因となる受精卵の着床障害を引き起こすことがあり、治療や手術が必要になることも多いでしょう。

子宮腺筋症には、子宮筋層が部分的に大きくなる「局所型」と全体的にふくれる「びまん型」があります。子宮腺筋症の手術では病巣個所を切除する手術が行なわれますが、再発する可能性が高いことも知られています。


精索静脈瘤とは、卵巣(精索)に静脈瘤ができることです。内精索静脈の弁不全のため、腎静脈から内精索静脈へ血液が逆流してしまい、血管がうっ血して膨れ上がってしまう疾患です。

精索静脈瘤は男性不妊患者の2~4割程度と報告されており、古くから男性不妊原因として治療が行なわれています。精索精索静脈瘤は手術を行なうことで精子所見が改善される傾向がありますが、症例が変わらなかったという報告もあります。


精子数がごく少ない場合は、精子浮遊液を直接子宮鏡を用いて卵管の子宮側から、卵管の中へ直接浮遊液を注入する方法を行います。この方法をHIT(hysteroscopic insemination into tube)と呼びます。HITは画期的方法として期待されましたが、当初考えられたほど妊娠率は高くなく、後に述べるGIFTを選択することが多くなっています。


スイムアップ法とは、人工授精において採取した精子の中から、質の高いものだけを集める方法です。「遠心分離法」で選ばれた精子に培養液を加えて、上澄みに浮遊した良好な精子を採取する方法です。スイムアップ法は精子の運動率を高める効果がありますが、精子の総数を減らしてしまうという欠点もあります。

人工授精にはスイムアップ法の他にも、遠心分離法、精液静置法やパーコール法、精子洗浄濃縮法などがありますが、スイムアップ法がもっとも多くの病院で使われているようです。(上記の言葉をスイムアップ法と同じ意味で使われることもある)

なお人工授精(AIH)とは、排卵日に合わせて夫の精子を注入器で子宮の奥に送り込ませる方法です。人工授精は一般的にはタイミング療法で妊娠しなかったときに、次のステップとして考えられています。


奇形精子症とは、正常形態精子が15%未満の場合を言います。1999年にWHOによる精子正常形態率の基準値が変更される前は、正常形態精子が30%未満の場合を奇形精子症としていました。
一般的に男性不妊では精液所見によって治療法を決定していきますが、精液を清浄したあとに運動精子数が200万以上の場合に人工授精(AIH)、50万~20万では体外受精(IVF)、50万未満が顕微授精(ICSI)の適応といわれています。


精子無力症とは、元気に運動する精子の数が全体の50%未満の場合をいいます。似たような男性不妊の原因として、乏精子症、無精子症などがあります。

精液検査により精液量、精子濃度、運動率、形態などが調べることができます。精子無力症とは運動率が50%未満のことを言います。乏精子症とは、精子濃度が少ない(1ml中に2000万個未満)ことをいい、無精子症は精液の中に精子が存在していない状態をいいます。顕微授精(ICSI)は、精子無力症の人にとって、有力な受精方法と言われています。


GnRHとは、視床下部から分泌されるホルモンで、下垂体からゴナドトロピン(LHとFSH)の分泌を促します。この分泌経路に異常があることを「視床下部性排卵障害」と呼んでいて、クロミフェン療法が第1選択の治療となります。

女性が排卵するまでの順序は、視床下部(間脳)から下垂体に働きかけ、そして下垂体が性腺刺激ホルモンを分 泌することで、今度は卵巣に働きかけます。そして刺激を受けた卵巣が、エストロゲンやプロゲステロンの分泌を始 めるのです。
ゴナドトロピン放出ホルモンとも言う。


hCGとは、妊娠検査薬で陽性になる成分で、卵胞ホルモンや黄体ホルモンの分泌を促す作用があります。不妊治療においてHCG注射が使われるケースは主に2つあり、1つは熟成された卵胞を排卵させる目的で使われます。

このケースではHCGが投与されてから、おおよそ24~36時間後に排卵が起きるので、その期間中にセックスのタイミングを合わせることで妊娠の確率が上がります。

もう1つ、hCGは黄体ホルモンの補充にも使われます。黄体機能不全など黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌に不妊原因があるときには、基礎体温の高温期中(排卵後)にHCGを投与することで妊娠の継続が維持できるようにカバーします。

*このHCG注射を投与している周期では、妊娠していないのに妊娠検査薬で陽性反応を示すことがあります。
hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピンともいう)は、妊娠が成立すると急速に分泌される糖タンパク質です。妊娠時に子宮内に形成される「胎盤」から抽出された性腺刺激ホルモンが、不妊治療で使用される「HCG」です。


腎結核に引き続いて、陰茎、前立腺、精嚢、睾丸、副睾丸などに結核菌感染が
起こると性器結核となります。
 痛みや発熱はほとんどみられませんが、各臓器の腫脹や膿瘍形成が生じ、
最終的にはその臓器を破壊します。
 結核性副睾丸では無痛性腫脹がみられ、石のようにかたく触れ、
膿瘍が皮膚を破って自壊することもあります。結核菌が臓器を破壊する前に
早期に治療することが大切です。


子宮頸管炎とは、子宮頸管に細菌が侵入して炎症を起こしたものです。子宮頸管炎の症状は、「おりもの」に変化が起こることが多く、「おりもの」がいつもと違った色になったり、粘り気があったり、臭いがあるときには子宮頸管炎を疑います。

子宮頸管炎はクラミジアや淋菌などの病原菌が存在している症状には、抗生物質で比較的に簡単に治療ができます。子宮頸管炎は「頸管性不妊」という不妊原因となりますので、早期の治療が必要になります。


子宮内膜炎は、細菌が子宮内に入り、内膜に炎症を起す病気である。
通常、健康な女性は、子宮頚管部より上に細菌が入り込むことはないが、 自然流産や人工妊娠中絶をした後や、お産の後には細菌が侵入しやすくな り起こると考えられている。また、性感染症(STD)に感染したことに 気づかず子宮内膜炎に至るケースも多い。

子宮内膜炎は大きく3つに分けられる。急性子宮内膜炎、慢性子宮内膜炎、 老人性子宮内膜炎で、それぞれ症状や治療方法が異なる。

○急性子宮内膜炎:
細菌の種類によって、症状に違いはあるが、高熱をと もなったり、下腹部の激痛や腰痛、排便・排尿時の腰の痛みなどがあげら れる。炎症がひどくなると、卵管、卵巣、腹膜まで広がることがある。

○慢性子宮内膜炎:
細菌が子宮内に侵入しても、子宮内膜は、月経で剥離 ため、何回かの月経で自然に治ることが多いが、生理不順であったり、無 月経が続くとしだいに慢性化し、子宮筋層へと炎症は広がる。慢性の経過 をとるためにほとんど症状は出ないが、出血量が少なかったり、無月経に なることもあり、不妊症の原因になることがある。

○老人性子宮内膜炎:
年をとり、ホルモン分泌が減ると、子宮の自浄作用 が低下し、様々な細菌が子宮内に入りやすくなる。症状は、膿のようなお りものがあらわれる。
子宮口や、子宮頸管が狭くなっているので、子宮腔 に、膿がたまり、けいれんや下腹部痛が起こることもある。これを子宮溜 膿腫という。子宮ガンのときにもこのような状態になる場合もあるので、 老人の場合は、単なる炎症によるものか、子宮ガンなのか、注意深く診察 してもらうことが大切である。


子宮筋腫とは、子宮にできる良性のこぶ(腫瘍)のことです。筋腫は1個から多いときには20個を超えることもあり、多きさも小さなものから大人の頭くらいまでさまざまです。成人女性の4人に1人は子宮筋腫を持っているといわれ、子宮内膜症と並びもっともポピュラーの婦人病といえるでしょう。

子宮筋腫は、できた場所が粘膜下筋腫、筋層内筋腫ですと子宮内膜に凹凸ができてしまい、不妊症や流産、早産の原因になることがあります。子宮筋腫の症状は、月経量が多い、レバーのような塊がでる、生理痛がひどい、貧血、性交痛、便秘や頻尿などが上げられます。

子宮筋腫はその大きさにより治療法が全く異なりますが、不妊や流産で悩むケースでは選択が難しく、「子宮筋腫摘出手術」を勧められることも多いでしょう。

手術の方法は「開腹手術」と「腹腔鏡下手術」、「子宮鏡下手術」があります。多くの場合は筋腫手術後の3ヶ月から半年程度は「子作り」を見送らなければならないようです。


子宮内膜症とは、本来なら子宮の内側をおおっている組織が、子宮の外側に増殖してしまう病気です。子宮内膜はエストロゲンやプロゲステロンの作用によって、厚くなったり剥がれ落ちたり(生理)しますが、子宮以外の増殖した内膜も、これと同じ現象が起こってしまいます。

子宮内膜症が発症しやすい場所は骨盤内の下腹部の、ダグラス窩、直腸、虫垂、膀胱などです。卵巣内に子宮内膜症が発症することも多く、逃げ場のない月経がドロドロに溜まってチョコレートのようになることから「チョコレート嚢胞」と呼ばれています。
月経がある女性の10人1人は「子宮内膜症」といわれていて、そして不妊原因の第1位がこの子宮内膜症です。子宮内膜症のことを、エンドメトリオージス(Endometriosis)と呼ぶこともあります。


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