GnRHアンタゴニストとは、体外受精(IVF)周期で使われる薬で、脳下垂体から分泌される「ゴナドトロピン(LHとFSH)」を抑制するために使われます。GnRHアンタゴニストを使うことで、LHサージを抑えて気まぐれに排卵してしまうのを防ぎます。
体外受精では、卵の熟成から採卵まですべてコントロールして行なわれます。そのため気まぐれにLHサージが起こったり排卵してしまっては困るのです。
GnRHアンタゴニスト(セトロタイド)は2006年の秋に発売されたばかりの、まだ新しい薬です。それまでは「GnRHアゴニスト」という、スプレータイプの点鼻薬(スプレキュア、ナサニールなど)が使われていました。
「GnRHアンタゴニスト」と「GnRHアゴニスト」の大きな違いは、その効果の持続時間にあります。GnRHアンタゴニストは皮下注射薬で痛みを伴いますが、効能の持続時間が約30時間あります。
それに比べてGnRHアゴニストでは、スプレータイプではありますが、効能が8時間程度しかありません。そのため「1日3回使用」というわずらわしさがあるのです。
そしてGnRHアンタゴニストは、その効果がすぐに現れるために、GnRHアゴニストのように長い期間投与する必要がありません。GnRHアンタゴニストは、「下垂体の回復が早い」「HMGの投与量が少なくOHSSの発症が少ない」「卵巣刺激にかかる総費用が安い」などのメリットがあります。
GnRHアンタゴニストは発育卵胞数を調節できる可能性もあり、今後の体外受精で使われる薬の主流となると考える専門家が多いようです。